管理職としての転職で注意しなければならないこととは?
最終更新日:2017年7月24日
30代に入ってから転職活動をする場合、転職先で管理職として採用される人もいるはずです。
管理職であっても、これまでの一般従業員と同じような給与システムになっている企業もありますが、管理職になる人には別待遇を用意している企業もあります。
場合によっては、一般従業員よりも待遇が悪くなってしまうケースもあります。
ここで管理職として転職する場合に注意すべき点について解説していきますので、参考にしてみてください。
管理職は残業代が支払われない?
「管理職になると残業代が出ないので、課長以上にはなりたくない」と言っている人を見かけたことがないでしょうか?
企業の中には、課長以上の管理職になると、残業代を支払わなかったり、休日手当を支払わないところがあります。
そんなのは法律で認められていないはずだと思うかもしれませんが、実は「管理監督者」という立場になると、残業代が支払われなくても問題ないと労働基準法で定められているのです。
この法律があるので「管理職」=「管理監督者」であるような場合には、管理職になった時点で残業代がなくなるということもありえます。
しかし、法律で定められている管理監督者と役職である課長などの管理職では一致しないケースが非常に多いです。
上記したような「課長になると管理職なので、残業代は支払わない」といったケースでも、法律で定められた管理監督者とは違うことが多いので、本来であれば残業代を支払わないといけないのです。
このように管理職と管理監督者の違いをあいまいに扱って不正を行う企業があるので、管理職と管理監督者の違いをよくしっておく必要があります。
では、管理職と管理監督者の違いについて、次の項目で詳しく見ていきましょう。
管理監督者は管理職の中のごく一部の範囲の人
以下のような特徴がある場合に、法律で定められている管理監督者とみなされます。
- 経営者と一体的な立場にある
- 労働時間を厳しく管理されていない
- 給与や賞与が立場にふさわしい金額を支払われている
経営者と一体的な立場にあるというためには、経営者のように様々な権限や責任が与えられている必要があります。
企業の中には、管理職にすれば残業代を支払わなくてもよいと考えて、とりあえず課長や店長などの役職をつける場合があります。
しかし、実際の仕事内容は一般従業員とほとんど変わらず、決定権もほとんどないので、こういったケースでは管理監督者とはみなされず残業代の支払いなどはしなければなりません。
役職名などではなく、実際の仕事での権限や責任を基準にして、管理監督者かどうかが判断されます。
労働時間に関しても、遅刻をしたからといって減給処分にされるなど、厳しい労務管理が行われているような場合は、管理監督者ではありません。
労働時間や休憩、休日などの規制の枠を超えて働く必要がある重要な仕事を任されている場合に、管理監督者として認められるので、勤務時間に関して厳しく管理されている人は対象外です。
そして、重要な給与などの待遇も立場に見合った金額が支払われている必要があります。
300万から500万程度の給与で管理監督者にさせられて、残業代は出ない、といわれても納得できない人がほとんどでしょう。
特定の金額が決まっている訳ではありませんが、最低でも600万以上の年収があって、はじめて管理監督者の範囲に入る可能性があると考えるべきです。
このように、役職で管理職として扱われていても、法律で定められている管理監督者にあてはまる人はほとんどいないことが分かると思います。
もし、上記した特徴を持たない管理職で残業代が支払われなかったり、休日手当が出ないという場合には、労働基準監督署などに相談するとよいでしょう。
名ばかり管理職問題で管理職の残業代が支払われるようになってきた
法律上の定義をあいまいに受け取って、残業代を支払ないというケースが2000年代に増加したために、問題としてメディアでも大きく取り上げられました。
特にチェーン展開をしている飲食店や小売店の店長を管理職とみなして残業代が支払われていなかったので、「名ばかり管理職」という言葉が作られました。
こういった問題が大きく取り上げられたために批判が大きくなり、大企業のチェーン店を中心に管理職の人でも残業代が支払われるようになっていきました。
現在では、管理職だからということで残業代が支払われないというケースは、少なくなっていると考えてよいでしょう。
まとめ
残業代を支払わなくてよい管理監督者は管理職の内のごく一部です。
管理監督者は、権限、責任、裁量、給与などが、立場にあったレベルで与えられていないといけません。
不正を働く企業は減りつつありますが、転職活動の際には、よくチェックするようにしましょう。