高卒者が転職活動の面接でよく聞かれる質問と答え方
最終更新日:2023年5月29日
転職者を対象とした面接では、よく聞かれる質問があります。
面接のための「質問マニュアル」を作っている企業がたくさんあるので、同じような質問が多くの人にされているのです。
これらの質問への回答をその場で考えることもできますが、前もって用意しておけば余裕を持って回答できるので、面接官に、
「落ち着いた人、信頼の持てる人」
という印象を残すことができるかもしれません。
面接では、ちょっとした差で合否が変わることも多いので、事前対策を行なっておくとよいでしょう。
以下では、面接でよく聞かれる質問例を上げて、
- 質問がどのような意図でされているのか
- 回答にはどのようなことが求められているのか
- 具体的な回答例
を解説していきます。
1. 「転職した理由は何ですか?」という質問への回答
転職理由や退職理由は、企業が最も重要視している質問です。
この質問の回答次第では一発で不採用になる可能性があると思って、しっかり想定回答を考えておきましょう。
前向きな理由や、自分に非のない仕方がない理由があって転職する場合は、そのまま転職理由を話せば、問題なくこの質問への回答をクリアできるはずです。
しかし、人間関係に問題があった場合などは、転職後も同じ理由で再度退職してしまうのではないかと思われてしまいます。
企業側に大きな問題があるような場合であったとしても、あまり企業を責めてばかりいては自分の責任は感じていないと思われかねません。
転職理由を説明する場合には、面接官が転職理由を聞いた時に、どういった評価を行うかを、しっかり想定して、マイナス評価になりそうな場合はフォローをいれておくことが大事です。
もし、正直に理由を伝えると、評価が悪くなり、フォローするのが難しい場合には、以下のように、転職理由を前向きな理由に変更するという方法もあります。
本音の転職理由を、前向きの転職理由に
民間企業が行った調査で、転職者が転職理由を聞かれて答えた内容では、「キャリアアップ」が最も多いという結果が出ています。
キャリアアップとは、技術や能力、経験などを積み、成長することです。
しかし、同じ調査で、本音の転職理由を聞いてみると、「人間関係」「待遇への不満」などが最も多いという結果になっています。
つまり、多くの人が本音の転職理由ではなく、キャリアップなどの転職理由に変えて伝えていることが分かります。
本音の転職理由を話してしまうと、面接において評価を大きく下げてしまう可能性が高い場合は、キャリアアップなど前向きな転職理由に変えて伝えるという方法もあると知っておくとよいでしょう。
回答例
前職は、食品メーカーで営業職をしていましたが、会社の規模が小さいため、取り扱う商品が少なく、顧客も限定されていました。
そこで、営業で培ったノウハウやコミュニケーション能力を活かしながら、幅広い商品を取り扱い、新規客が開拓できる営業をしたいと思い、転職活動を始めました。
2. 「なぜ当社に応募したのですか?」という質問への回答
数ある企業の中から、応募企業を志望した理由を聞くことで、企業への志望度が高いのか、長期的に活躍してくれるのか、といったことを確認しています。
特別な思い入れや、どうしてもその企業でないといけない理由、企業の中で実現したいことなどがある人は、転職後に活躍する可能性が高いので、企業は、そういった人を優先的に採用しています。
しかし、誰もがそういった強い志望動機を持ちながら転職活動を行っているわけではありません。
転職求人情報サイトを見ていたら、たまたま見つけたといった場合や、大企業で知名度が高く以前から知っていた、というような理由で応募したという人も多いです。
こういった場合、正直に志望理由を話しても採用されることはないでしょう。
以下のような対策をきっちりして、志望動機を熱意を持って伝えられるようにしておきましょう。
志望動機を考えるのに、企業情報を活用しよう
強い思いがあって企業に応募するのなら良いですが、それ程強い志望動機を持っている場合は少ないはずです。
そういった場合には、企業のホームページを見たり、企業関係者の話を聞いたり、企業の商品を実際に使ってみるなどして、そこで感じたことを参考に志望動機を考えてみるとよいでしょう。
できるだけ詳しく調べて、「〜に魅力を感じて応募させて頂きました」とアピールできれば、よく調べているということで志望度の高さを評価してもらえる可能性があります。
転職者には、ありきたりな志望動機を述べる人が多いので、少し人より調べていたり、人に会って話を聞くなど手間をかけていると、それだけでも差別化できる可能性が高いのです。
回答例
私が社会人になってから5年間、変わらず愛用している商品は御社の化粧品です。
御社は、商品がファッション誌などのメディアで頻繁に取り上げられたり、店舗やホームページで「お客様の声」を募集したりと、商品や店舗の発展に力を注いでいます。
良質な商品やサービスを常に提供しようとする御社の仕事に、私も携わりたいと思い、応募いたしました。
3. 「以前の会社で身につけた業務スキルを当社でどのように活かせますか?」という質問への回答
即戦力として活躍できる人材を採用したいと考えている場合に、よく質問されます。
業務スキルについて詳しく説明させることで、どれくらいの技術を持っているのかをはっきりさせ、採用後に活躍できるかを確認します。
こういった業務スキルについて質問がされる場合は、相手もそれなりに業務知識を持っている面接官である可能性が高いです。
ですので、適当な回答をしているようでは、矛盾点から評価が悪くなってしまうかもしれません。
事前に、自らの業務スキルをしっかり整理しておくようにしたいです。
前職でそれほど長い間勤めていたのではなく、業務スキルといえるものを身につけていないとしても、「何もない」と答えるようではいけません。
新人研修や少しの期間でも仕事をしていれば、学んだことがあるはずですので、その中から応募企業でも活かすことができるスキルをアピールしてみましょう。
応募企業の事業内容について調べておく必要がある
この質問に答えるためには、自らの職務経歴の棚卸しをするだけでなく、応募企業の事業内容についても調べておく必要があります。
「どのように活かすことができるのか?」問われているのですから、相手の事業内容が分かっていないと答えることができないからです。
業界は同じでも、行っている事業内容は大きく違うということもありえます。
もし、見当違いの提案をしてしまっては、評価は低くなってしまいます。
志望動機などを述べる際にも利用することができるので、前もって応募企業の事業内容についてはよく調べておくようにしましょう。
回答例
5年間の営業職で、「毎日50件営業」を目標に個人宅や店舗に電話や訪問をして、毎月ノルマを達成していました。
多くの営業経験から得たコミュニケーション能力の高さと行動力は、商品のPR方法と、お客様が求める商品やサービスの情報収集に活かすことができます。
WEB関連の技術は、日進月歩で新しい技術が作りだされているので、常にアンテナを広げて、技術セミナーなどにも参加し、最新の技術を身に付けてきました。
WEBサイト作成に必要な、DreamweverやWordPressなどのツールを使い、HTMLやCSS、PHP、JavaScriptなどの言語の知識を駆使して仕事をしてきましたので、御社でもそれらの経験が活かせるかと思います。
4. 「これまでの仕事で失敗した事はありますか?」という質問への回答
前の企業で行った業務の中で失敗やミスをした場合に、それらに対して、どのように対処したかを確認するために質問が行われます。
失敗に対して適切な対処を行い、同じ事を繰り返さないようにしているのか、マニュアルなどを作り他の人にも徹底したかなどを知ることで、失敗から学べる人であるかを判断します。
失敗をしても、それを隠してしまったり、自らの責任ではないと考えてしまう人も中にはいます。
しかし、そういった態度では本人も成長していかないですし、業務にも支障が出る可能性があります。
失敗をなくすことは不可能ですが、失敗を次に活かすことができる人は評価されるのです。
失敗に対して具体的な対策を行ったかどうかが重視されている
仕事をしていれば失敗することも多々ありますが、その失敗に対してどういった対策を施しているかで、その人の仕事への取り組み姿勢が分かることが多いです。
例えば、
指示されていた事とは違う事をしてしまい、一からやり直す必要が出た
↓
メモを欠かさず取り、ToDoリスト(やることリスト)を作成して一つ一つ片づけるようにしている
といった対策を行っていれば、一度してしまったミスを二度と繰り替えさない方法を考えているということで、失敗から学べる人と評価されることでしょう。
しかし、
必要な書類を忘れてしまい、取引先に迷惑をかける事があった
↓
それ以降は注意するようにしている
といった場合には、注意という曖昧な対策しか取れていないので、今後も同じ失敗を繰り返す可能性があります。
仕事では基本的に同じ失敗を繰り返さないことが重要ですので、精神論の対策を述べる人は仕事への取り組み姿勢がまだまだ甘いと考えられてしまいます。
具体的な対策を考えて、失敗を起こさない状態にできているのかが重要になってきます。
回答例
営業で移動中に、偶然取引先の営業担当者と出会い、名前が思いだせなかったことがあります。
挨拶程度の会話でしたが、名前を思い出していれば、会話が弾み仕事の話につながっていたかもしれません。
それ以降、頂いた名刺の裏に相手の特徴や趣味、似顔絵を記入して、名前と顔を覚えたり、会話の糸口を見つけるようにしています。
5. 「仕事でのストレスとどのように向き合っていますか?」の質問と回答
残業が多かったり、長時間集中力が必要な職業が増えていることから、鬱病や精神疾患に陥る人が増えており、企業もストレス対応について重視しています。
普段の生活面からストレス発散を心がけているのか、面接で質問されるケースが増えています。
ストレス耐性が強いのであればそのことをアピールしよう
特にストレス発散のために何かをしているというわけではなくても、体力があり、ストレス耐性が強い人というのはいます。
こういった人は仕事もバリバリこなせる人が多いので、企業で活躍している人が多いです。
企業側もこういった人は採用したいと考えるので、ストレス耐性が強いことをアピールすればよいでしょう。
ただし、そのまま、
「ストレスに強い性格です」
と言っても、信用してもらえないので、
- 学生時代にスポーツをしていたので鍛えられた
- 今現在もスポーツをしているので、それがストレス発散になっている
といった具体的な例を示して話すとよいです。
また、前職においてストレスがかかる仕事をしていたのなら、そういった場面でも問題なく対処していた事をアピールするのもよいです。
日々の生活から心がけているストレス発散法をアピール
上記したようなパワフルな人であれば良いのですが、そういう人ばかりではないです。
ストレスに弱くて、様々な工夫をしながらなんとか仕事をこなしているという人もいるかもしれません。
そういった人もストレスに対処しながら仕事を行えているのですから、そのストレス発散方法について説明すれば良いでしょう。
- なるべく早く起きて、ウォーキングをしている。
- 早めに出勤して、時間に追われないようにしている。
- 週末は、友人と野球、サッカー、テニスなどをして汗を流している。
- 休日には睡眠時間を十分に確保し、気分をリセットしている。
など、前職のころから行っているストレス発散方法について説明すれば、納得してくれるはずです。
ただし、毎日睡眠を十分取っているといった事や、人間関係で悩まないために人付き合いはあまりしないというような事をアピールすると、マイナスアピールになりかねません。
残業はしてくれるのか、付き合いによる人間関係を深めることはしないのか、など不審がられてしまう可能性があるからです。
あくまで仕事に差し支えのない範囲での、ストレス発散法をアピールするようにしましょう。
回答例
休日は、友人とテニスをして、気持ちや体をリフレッシュしています。
平日は、帰宅時に最寄り駅より一つ手前で電車を降りて、自宅まで30分間歩いて帰ります。
その間、仕事の改善点や翌日の段取りを考えたりと、気持ちにゆとりができ、仕事でのストレスを翌日まで持ち越すことが少なくなりました。
6. 「出張や出向は可能ですか?」という質問への回答
子会社やグループ会社がたくさんある場合や、機材やシステムの導入などで他社で働くケースがある時などには、出張や出向を命じられることがあります。
他社で働くことを嫌がる従業員も少なからずいるので、面接でも質問されることがあります。
こういった質問にはどのように答えれば良いのでしょうか。
面接官は「可能です」という答えしか期待していない
こういった質問をするということは、その会社では出張や出向が行われているということですので、出張や出向ができない人は採用したくないと考えていると思って、ほぼ間違いないです。
つまり、面接官は転職者に「可能です」という答えしか期待していないのです。
出張や出向は、労働法で
「労働条件を明示して労働契約を結んでいる人には特に通知がなくても命令することができる」
とされているので、入社してしまえば命じられて断ることはできないと思っておきましょう。
特に問題ないのでしたら、「可能です」と答え、出張や出向はしたくないということなら、不採用を覚悟の上で「応じられません」と答えておきましょう。
出張や出向をイメージだけで判断しないようにしよう
出張や出向にテレビなどの影響から、あまり良いイメージを持っていない人もいるかもしれませんが、悪いものだと決めつけないにしておきましょう。
出張や出向を通して、他社の働き方や他の地域のよい所などについて知ることができたり、他社の人と働くことにより新しい技術が身についたり、人脈を広げたりもできます。
また、出向などの経験がある人だけが昇格できる役職があるという場合もあるので、避けすぎていると後々損をすることもありえます。
同じ職場で働き続けるのは楽かもしれませんが、様々な経験を通してのみ人は成長できますし、一度経験してみればそれほどのことでもないので、特に問題なければ「可能です」と答えておけばよいでしょう。
回答例
出張や出向は、人脈を広げるチャンスなので可能です。
7. 「給与額はどれくらいを期待していますか?」という質問への回答
新卒であれば、給与額について提案することはタブーとされていますが、転職活動では給与額についてどれくらいを希望するのかを聞かれることがあります。
こういった質問をされた場合には、どのような回答をすべきでしょうか?
あくまで相手次第、給与交渉は慎重に
給与について聞かれたとしても、無理なお願いをして相手の不満を買ってしまうようでは意味がありません。
日本では、年功序列の給与システムを採用している企業がまだまだ多いので、基本的に、そのシステムに従うのが望ましいと考える企業が多いです。
ですので、企業側の提示額に準拠するという態度で臨み、給与額について交渉の余地があるようであれば、慎重に交渉に臨むようにしましょう。
求人情報にある程度の提示金額や給与例などが表示されている場合には、そういった情報も参考に交渉をするとよいでしょう。
転職では、以前の職場での給与額より低くなることがあるので、そういった可能性があるかどうかは重要なことですので、かならず確認しておきたいです。
ただし、ボーナスや残業代、歩合など、あまり深追いするのはあまり印象が良くないので、最終面接か、内定獲得後までは交渉を詰めないことも必要です。
多くの日本企業では、内定後にはっきりとした給与額が決まることが多いので、面接時には相手の様子を伺いながら、給与額がどれくらいになりそうか確認する必要があり、なかなか難しい所でもあります。
回答例
前職の年収が〇〇〇万円でしたので、できるだけ下回らない額を希望します。
8. 高卒者が転職活動の面接でよく聞かれる質問内容まとめ
上記した質問はどの企業でも聞かれる可能性が高いので、事前に対策として回答例を用意しておくとよいです。
ただ、何社にも同じ回答をするのではなく、一企業ごとに回答例を用意するようにしておきましょう。
この他にも企業独自の質問というのが行われることもあるので、解答例を用意したもの以外の質問がきても、落ち着いてハキハキと答えるようにしたいです。