退職金にかかる税金と手取り金額の求め方

最終更新日:2018年6月29日

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当サイトには、20代、30代の若い年齢で転職を考えている人がたくさん訪問してくれています。

そういった、比較的短い期間勤めて、退職する人にも、退職金は支払われます

しかし、退職金にも所得税や住民税などの税金がかかる場合があり、企業が支払う退職金全額が手取りになるとは限りません。

退職金の手取りはどれくらいになるのか?また、世間一般の退職金額はどれくらいあるのか?といった退職金周りの情報をここで提供していこうと思います。

1. 退職金の手取り金額を求める計算式

毎月支払われていた給与と同じように、退職金にも税金はかかります。

しかし、退職金は、これまで働いてくれたことに報いるために支払われるものですので、あまり税金が高くならないように配慮がされています。

では、具体的に、退職金にかかる所得税や住民税の計算式を見ていきましょう。

1-1. 税金を算出する基礎になる「課税退職所得金額」を求める

退職金にかかる税金を求める際には、退職金に直接税率を掛けて算出するわけではありません。

退職金額から「控除」を引くなどしてから税率を掛けることで、税金の額が少なくなります。

退職金からはまず、「退職所得控除額」が引かれます。

そして、その金額に1/2をかけることで、税金を求める基礎になる「課税退職所得金額」が求められます。

課税退職所得金額を求める計算式
(退職金の額-退職所得控除額)×1/2= 課税退職所得金額

ここで引かれる退職所得控除額は、

  • 勤続年数20年以下の場合、40万円×勤続年数
  • 20年超の場合、800万+70万円×(勤続年数-20年)

となります。

税金がかからない場合が多い

退職所得控除などがあるために、退職金に税金がまったくかからない人が多いです。

勤続年数が短い人の場合は、退職金が40万円×勤続年数よりも少ない場合は、所得税はかかりません。

ですので、短期で退職して、退職金が少ない場合、税金はかからないことが多いです。

1-2. 所得税額を求める

求められた課税退職所得金額に、所得税率が掛けられて、さらにそこから控除額が引かれることで、退職金にかかる所得税額が決定します。

所得税を求める計算式
課税退職所得金額×所得税率-控除額=所得税額

今現在、所得税には、復興特別所得税も課されるので、その金額がプラスされます。

復興特別所得税を求める計算式
所得税額×2.1%= 復興特別所得税の源泉徴収税額

所得税の税率と控除額は以下の通りです。

A 課税退職所得金額 B 税率 C 控除額
1,000円から1,949,000円まで 5% 0円
1,950,000円から3,299,000円まで 10% 97,500円
3,300,000円から6,949,000円まで 20% 427,500円
6,950,000円から8,999,000円まで 23% 636,000円
9,000,000円から17,999,000円まで 33% 1,536,000円
18,000,000円から 39,999,000円まで 40% 2,796,000円
40,000,000円以上 45% 4,796,000円

退職金にかかる税金

1-3. 住民税額を求める

退職金にかかる住民税は、上で求めた課税退職所得に、住民税率を掛けて求めます。

住民税を求める計算式
課税退職所得×住民税率(市町村民税6%+都道府県民税4%)=住民税額

1-4. 手取りの退職金額

ここまで求めた税金を引くことで、手取りの退職金となります。

手取りの退職金を求める計算式
退職金の額-(所得税及び復興特別所得税の源泉徴収税額+住民税)=手取りの退職金額

2. 退職金をもらう際の手続き

退職金をもらう際には、税務署でもらえる「退職所得の受給に関する申告書」を企業に提出するだけで、企業が手続きをしてくれます。

もし「退職所得の受給に関する申告書」を提出しないと、退職金から一律20.42%の所得税及び復興特別所得税が源泉徴収されるので、注意してください。

3. 退職金は一般的にどれ位もらえているのか?

企業が退職者の退職金を計算する際には、就業規則に書かれている退職金を求めるための計算式に則って算出します。

一般的には以下のような計算で退職金が求められています。

一般的な、退職金を求める計算式
退職金=退職時の1か月分の基本給×就業年数×給付率

ここで重要になってくるのが、給付率なのですが、一般的には60%前後が多いようです。

給付率を60%として、10年勤務したとすると

  • 退職時の1か月分の基本給が25万円だと、150万円
  • 退職時の1か月分の基本給が30万円だと、180万円
  • 退職時の1か月分の基本給が35万円だと、210万円
  • 退職時の1か月分の基本給が40万円だと、240万円

の退職金がもらえることになります。

給付率を60%として、定年まで40年間勤めた人だと、

  • 退職時の1か月分の基本給が45万円だと、1080万円
  • 退職時の1か月分の基本給が50万円だと、1200万円
  • 退職時の1か月分の基本給が55万円だと、1320万円
  • 退職時の1か月分の基本給が60万円だと、1440万円

程の退職金がもらえることになります。

4. 退職金の使い道

退職金が貰えたとしても、浪費しているとすぐになくなってしまいます。

退職後に必要なお金を考えて、賢く退職金を使いましょう!

4-1. 生活費

退職後に転職活動をする場合、転職活動を続けている期間の生活費が必要になります。

失業給付金も出るので、それで間に合うのであればよいですが、それ以上に生活費がかかる場合は、退職金を利用しなければなりません。

ちなみに、失業給付金は、前職で貰っていた賃金の50%から80%程度とされています。

4-2. 転職活動費用

転職活動をするにもお金はかかります。

ある調査によると、転職活動自体にかかる費用は15万円から20万円前後とされています。

しかし、遠距離の企業の面接に参加する場合などは、宿泊費や交通費がかかり、予想以上に転職活動費用が高くなる場合もあります。

失業給付金は生活費でほとんど消えてしまう人が多いでしょうから、転職活動費用は退職金から支払うことになるのは覚悟しておいた方がよいでしょう。

4-3. 旅行

ここまでは必要経費でしたが、せっかく長期の休みがあるのでしたら、この機会を利用して旅行に行くなどしてもよいのではないでしょうか。

海外旅行などにいってみたり、日本中を旅してみるのもよいかもしれません。

仕事をはじめてからは、できないことに、お金と時間を使ってみるのもよいのではないでしょうか。

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