営業職に転職する
最終更新日:2018年6月29日
営業職に転職した場合、給与やボーナス、そして年収はどれくらいになるのでしょうか?
また、求人は豊富にあるものなのでしょうか?
営業職に転職する際に、役立つ情報について解説していきます。
1. 営業職の年収・歩合・賞与
1-1. 営業職の業界別年収
営業職の年収は、業界によって年収が大きく違います。
下の図は、業界別に、20代の営業職の人がどれくらいの年収をもらっているのかを表したものです。
転職する人には20代後半の人が多いので、転職後の年収がどれくらいになるのかの目安にしてみてください。
20代営業職でもっとも年収が高いのがMR(Medical Representatives)といわれる、製薬企業で働く営業職です。
医療業界の営業職ということで、業界自体が高収益ですので、必然的に営業職も年収が高くなっているようです。
2位は証券、3位は医療機器メーカー、4位は銀行となっており、上位を占めている業界は全て高収益の業界ばかりです。
今回の調査では、20代だけを対象としていましたが、全年齢を対象とした調査においても、高収益業界の営業職の年収は高くなっています。
年収だけを考えて転職をするのであれば、業界選びが非常に重要になってくるのが分かります。
海外営業も高年収
別の調査では、海外営業の年収が最も高くなっています。(上の20代の調査では海外営業という分類はありませんでした)
海外営業とはいっても、必ずしも外資系の企業の営業だけではなく、日本の企業から海外に営業に行く人も含まれています。
提案や交渉などを英語で行うことが多くなるので、高い語学力が必要とされることや、海外で生活するので負担が大きいこと、海外に事業展開する際には優秀な社員を配置する場合が多いことから、年収は高くなっているようです。
もう一つ、営業職の年収に関するアンケート結果があるので、見てみましょう。
こちらは、20代に限らず、全年代を対象として営業職に勤める人の年収分布を表しています。
営業職は、歩合制を導入している企業が多いので、高額の年収を実現できる人もいますが、図にもあるように全体としては450万円未満の年収の人が多いことが分かります。
営業職でも年齢が上がるごとに年収は増える傾向にありますが、ほかの職種に比べれば実力主義の色合いが強いので、成果をどれだけ出せるかで年収は大きく変わることになります。
1-2. 営業職の歩合
営業職の年収は歩合によって大きく変わることが多いです。
しかし、歩合制を導入していなかったり、年収に占める歩合の比率が少ない企業もあります。
年収に占める歩合が多い営業職には
- 生命保険営業
- 不動産営業
- 車のディーラー
などがあります。
一方、年収に占める歩合が少ない営業職には
- MR
- ルート営業
などがあります。
個人を対象とした商品や高額商品を扱う営業職では、歩合制を導入して営業の人のやる気を高めています。
一方、MRの仕事は医薬品を扱う仕事でもあるので、あまり歩合を大きくしすぎて無茶な営業をされると困ることがあり、歩合の部分は少なく、基本給が高い傾向にあります。
しかし、部分的には歩合を導入している企業は多いですし、外資系の企業では歩合の比率が高くなるので、他の営業職と同じように実力によって年収は変わってきます。
ルート営業に関しては、既に確立された営業先に御用聞きに行く仕事なので、歩合の割合が低かったり、歩合制は導入していない企業が多いです。
営業職を目指していても歩合の割合が少ないことを好む人もいることから、ルート営業の求人情報には、安定して給与が得られることをアピールしていることもあります。
1-3. 営業職の賞与
営業職は実力主義で給与が決まることが多いですが、賞与に関しても営業成績が連動していることが多いです。
給与に歩合の占める割合が高い企業ほど、営業成績と賞与が連動している割合が高く、歩合の割合が少ない企業ほど、営業成績と賞与が連動している割合も少ない傾向があります。
2. 営業職の種類
営業職は、働ける業界や職種が豊富で、営業先、営業方法も多種多様です。
どのような営業職の種類があるのかを見ていきましょう。
2-1. MR(Medical Representatives)
仕事内容
MRは、医療機関向けに自社製品の医療用医薬品を販売する製薬会社の営業です。
ドラッグストアのような、処方箋なしで購入できる一般医薬品は取り扱いません。
調剤薬局や開業医、病院等の医療機関を訪問して、医療用医薬品の使用感や有効性、安全性、副作用などすべての情報の提供や収集を行います。
また、医薬品の卸業者への営業活動もします。
ルート営業が多いため、医師や薬剤師、看護師などの医療従事者とMR双方の信頼関係が深ければ契約に至りやすいです。
応募のしやすさ
「医療用医薬品を販売する」と聞くと、就職するにはハードルが高いと感じるかもしれませんが、資格や経験がなくてもMRとして働き始めることは可能です。
しかし、採用された後は、専門知識を必要とされることもあります。
病院によっては「MR認定証」がなければ病院での営業ができないので、企業でも取得を義務付けている場合もあります。
「MR認定証」は国家資格ではありませんが、2016年の合格率は約70%と比較的取得しやすい認定証なので、知識の証としていずれは取得しておくと良いでしょう。
2-2. 生命保険営業
仕事内容
生命保険営業は、企業や個人に、「死亡」「医療」「介護」「貯蓄」といった保険加入の勧誘や保険見直しの相談を行います。
企業の昼休みに食堂で保険勧誘をしたり、一軒一軒家を訪問したり、手作りのチラシを配ったりの新規開拓営業やルート営業を行います。
生命保険業には、日本生命や第一生命のような国内企業と、アメリカンファミリーやソニー生命のような外資系企業があります。
応募のしやすさ
生命保険の営業職は、求人応募の条件で資格や経験を求められることはほとんどありません。
街頭で「保険外交員になりませんか?入社の際には何の知識もいりません」と勧誘されることもよくありますので、比較的入社しやすい業種です。
入社してからは、営業の実務や社内研修で、業務に必要な保険の知識を身に着けていきます。
そして、生命保険協会の「一般課程」試験に合格すれば、生命保険の営業職として保険の勧誘や販売が可能になります。
その後は、「専門課程」→「応用課程」の順に試験に合格し、すべて合格すると「SLC(シニアライフコンサルタント)」に認定されます。
資格ではありませんが、保険知識を持っている証として肩書にも使用できるので「SLC」を目指していくと良いでしょう。
2-3. 広告・メディア営業
仕事内容
広告・メディア営業は、あらゆるメディアの広告枠に広告を掲載してもらうための営業・提案をする仕事です。
求人サイト(リクナビ・DODAなど)の求人広告や、グルメサイト(食べログなど)への店舗広告など、メディアごとに様々な広告を営業することになります。
大手メディアが、広告枠販売を別の企業に業務委託しているので、業務委託をされた企業がメディア企業に代わって営業職の人を雇い、広告枠を販売していることが多いです。
以前までは、TVやラジオ、新聞などの広告枠を販売する仕事が多かったのですが、今ではインターネットのWeb広告を販売する業務が飛躍的に増えており、求人の数でもWeb広告の営業職が非常に多くなっています。
応募のしやすさ
Web広告の広がりから、Web広告の販売を担当する営業職向け求人が多数存在しているので、求人の数が少なくて困ることはないはずです。
多くの場合、応募条件が「高卒以上」「要普通自動車運転免許」程度の場合が多く、応募のしやすさは非常に高いといえるでしょう。
広告の提案書作成などで、wordやexcel、メールを利用することが多いので、基本的なパソコンスキルを持っていると採用で有利になります。
2-4. 商社の営業
学生の就職希望先ランキング上位にいつも顔を出すのが、商社です。
商社の営業といえば、高年収であったり、海外を飛び回っていたりと、待遇が良かったり、格好が良いといったイメージがあるので、学生に人気があります。
実際に、年収は営業職の中でも高い傾向にあり、販路や仕入れ先に海外が含まれている場合は、様々な国を飛び回ることにもなります。
メーカーとは違い、様々な商品を扱うこともできるので、魅力的な商品を見つける楽しみや、自分の見つけた商品が当たって高い売り上げを実現できる楽しみがあったりと、仕事内容にも魅力があります。
しかし、魅力的な仕事には、つらい部分も多いのが世の常です。
商社の営業では、高い語学力が必要とされますし、有名な商社になると高学歴でないと採用されないといったこともあります。
また、仕入れ先と販売先の間に挟まれて仕事が忙しかったり、接待なども多い、といった面もあります。
応募のしやすさ
様々な商品を様々な国で仕入れて販売している、有名総合商社(三菱商事・伊藤忠商事など)に入社するのは、非常に難易度が高いです。
新卒採用が主で、中途採用の求人が中々出てこないということもあります。
中には、人材紹介会社に依頼して、非公開求人として、特定の人にだけ求人を見せるという場合もあるようです。
こういった有名総合商社に転職で入社しようと思う場合は、希望の商社のHPを常にチェックして求人が出ていないか確認をしたり、人材紹介会社に登録をして求人が出たら知らせてもらうようにしておくとよいでしょう。
有名総合商社以外の、車や機械といった特定の商品に特化した専門商社、中小規模の商社といった企業の営業職であれば、通常の営業職と同じように求人がたくさん存在します。
応募条件に関しても「高卒以上」「要普通自動車免許」など、通常の営業職と同じような条件が多く、求人もたくさんあるため応募はしやすいでしょう。
3. 営業先
同じ営業職でも、営業先の違いによって仕事の仕方が大きく違い、向き不向きや、好みが分かれてくる場合があります。
ここで営業先による違いについて解説していくので、自分はどちらが向いているのか考えてみて下さい。
3-1. 法人向け営業
法人営業は、企業向けに営業を行う仕事です。
企業間での取引においては、何事も組織で決定するため、契約までには複数人の許可を得ながら営業を行うことになります。
また、他部署と連携して、大きなプレゼンテーションをする機会が頻繁にあります。
すぐには契約がまとまりにくいですが、契約が成立すれば一個人の意見によって破談することはほとんどありません。
長期的な関係性を維持することになるので、契約が成立後も取引先に御用聞きに伺う、ルート営業が多いのも法人営業の特徴です。
3-2. 個人向け営業
個人営業では、一般個人に営業を行います。
一個人の意思決定で契約が成立しやすい反面、一個人の気持ち次第で成立した契約が取り消されることもあります。
法人と違い、クーリング・オフ制度が適用されるので、営業とお客様双方の信頼関係や相性が良いことが、契約が成立できるかどうかに大きな影響を及ぼします。
個人向け営業は、商品の良さはもちろんですが、コミュニケーション能力が高ければ高いほど営業の成果が上がります。
営業担当者の力量が非常に重要になってくるので、成果主義を導入している企業も多く、ノルマ達成や歩合による給与アップを実現するために努力が必要になります。
4. 営業職の転職活動の仕方
営業職に向けた転職活動をする際には、前職が営業職であったのか、異職種であったのか、同じ業界で働いていたのか、といった点でアピールすべきことが変わってきます。
4-1. 前職が営業職の場合
営業職から営業職への転職は、スムーズに履歴書、面接を通過するケースが多いです。
特に前職で営業成績をきっちり出していた方であれば、具体的な成果数を示すことで、評価が高くなり内定を得ることができます。
同じ営業職で、異業種に転職する場合であっても、前の業界での経験を活かすことができると判断されれば高く評価されます。
前業界での、仕事内容や、経験したことを棚卸して、次の業界で活かすことができる技術・知識などをアピールしていく必要があります。
前職が営業職の人のアピール材料
- 営業成績
- 表彰実績
- 営業向きの性格
- 営業の後輩の指導経験
- 指導した後輩の実績
4-1-1. 前職が営業職の人の転職理由
営業職から営業職に転職する人の主な理由には以下のようなものがあります。
- 給与・労働時間など労働条件が悪い
- 上司や同僚との人間関係が悪い
- 転勤で引っ越しが必要になった
- ノルマがきつい
- キャリアアップ
こういった転職理由が多いのですが、前職場での悪い部分が転職理由の場合、面接で本音を伝えては評価が低くなってしまいます。
「キャリアアップ」など、できるだけ前向きな内容に変えて転職理由を伝える必要があります。
4-1-2. 前職が営業職の人の志望動機
同じ営業職として転職する場合には、「扱う商品が違う」ということが最も大きな変化になります。
ですので、「~の商品を以前から扱いたいと思っていた」「昔使っていた商品を販売したい」といった形で、商品にからめて志望動機を述べる人が非常に多いです。
しかし、同じような志望動機が多くなるので、商品を志望動機に上げる際でも、どれだけ志望度が高いと思ってもらえるかが重要になってきます。
もし、他の人との差別化を考えるのであれば、商品以外に関する志望動機を述べることも考えてみるとよいでしょう。
4-2. 前職が営業職以外の人の場合
前職が営業職ではなく、技術職や事務職といった場合、どうして営業職を希望するに至ったのかについて、必ず確認されるので、きっちり説明できるようにしておかなければなりません。
今でも経歴に一貫性がない人を評価しない採用担当者もいるので、できるだけ納得性の高い理由を説明するようにしたいです。
また、技術職や事務職時代の経験や身につけた知識で、営業職をする際に活かせるものをしっかり棚卸しておきましょう。
営業職の求人には、未経験者を対象としたものもたくさんあるので、前職で身につけた技術や知識が活かせるとなれば、そういったものがない人に比べて一歩リードすることができます。
職種は違っても、業界が同じであれば、同業界での知識や経験も評価されるので、そのことについてもアピールしておくとよいです。
前職が営業職以外の人のアピール材料
- 前職種の経験・知識・技術で営業職で活かせること
- 業界、商品に関する知識
- 前職種の人脈
- 営業職向きの性格
4-2-1. 前職が営業職以外の人の転職理由
営業職以外から営業職に転職する人の主な理由には以下のようなものがあります。
- 前職の仕事内容が合わない
- 前職の給与・勤務時間など労働条件が悪い
職業を変える人には、前職の仕事内容や、給与などの労働条件に不満があって転職する人が非常に多いです。
そういった場合であっても、面接で転職理由について説明する際には、前職の不満を上げると評価が悪くなってしまいます。
次に就こうと思っている職業に対する、夢やあこがれなど前向きな転職理由を説明した方がよいでしょう。
4-2-2. 前職が営業職以外の人の志望動機
前職が営業職の人に比べて、前職が営業職以外の人の志望動機はバラエティに富んでいることが多いです。
職業が変わりますし、扱う商品や業界も変化することが多いので、志望動機に使える材料が非常に多いからです。
職業を変えてまで、新しい仕事をしたいと考える人には、志望動機が強い人が多いので、基本的には自分の思いを正直に面接官に伝えれば、志望度の高さが相手に伝わるはずです。
しかし、どうしても志望動機が思いつかないという場合には、企業の扱っている商品や仕事内容についてよく調べて、そこから志望動機を考え出すとよいでしょう。
5. 営業職の仕事を探すための求人情報サイト
営業職の求人は、どの求人サイトでもたくさん扱っているので、求人が少なくて足りないということはあまりないかもしれません。
しかし、「リクナビNEXT」などの有名サイトを利用しておけば、求人数が非常に多く、また、企業規模の大きな企業の求人も充実しているので、まずは有名サイトを利用してみるのがよいかもしれません。
そういった求人情報サイト以外では、人材紹介会社を利用してみるのもおすすめできます。
キャリアアドバイザーが、求人の紹介や履歴書の書き方、面接対策まで行ってくれるので、転職者は必ず人材会社に登録して、一度は話を聞きにいくようにした方がよいでしょう。
営業職を探すのであれば、「doda」という営業職に強い人材紹介会社を利用すると、営業職の求人をたくさん保有しているので、適正にあった求人を紹介してくれるはずです。
求人サイトに関しても、人材紹介会社にしても、扱っている求人は、企業やサイトで大きく違ってくるので複数のサービスを利用することをお勧めします。