高卒女性の転職が有利に変化してきている!
最終更新日:2018年9月14日
当サイトには、高卒女性の方がたくさん訪問しているのですが、今現在、高卒女性の転職環境が変わりつつあります。
高卒女性が転職活動を成功させるためには、『どのような変化が起こっているのか』を知って、その変化に合わせた転職活動を行う必要があります。
ここでは、国の統計や企業の動向から、
- 高卒女性の働き方の変化
- 高卒女性が活躍している職種
など、高卒女性の転職活動に必要な情報を詳しく説明します。
これらの情報をもとに、転職活動を有利に進めてください。
1. 高卒女性の働き方の変化
以前は『男性は外で働き、女性は家を守る』という家庭のあり方も普通に考えられていたので、
- とりあえず就職する
- 人並程度の仕事でよい
- 結婚や出産・子育てをきっかけに退職する
というように、就業意識が低い女性が少なくありませんでした。
しかし、以下のグラフから分かるように、就業に対する女性の考え方は年々変わってきています。
1992年には『子供ができても、ずっと職業を続ける方がよい』と考えていた女性は26.3%しかいませんでしたが、2016年には半数を超える55.3%を占めて1位になっています。
出典:内閣府『男女参画白書平成29年版』
一方で、1992年に45.4%と最も多かった『子供が大きくなったら再び職業を持つ方がよい』と考える女性は年々減少していき、2016年には28%になっています。
これらのことから、女性の退職理由で多かった『出産・育児』で退職することなく、生涯を通して働くことを考えている女性が増えていることがわかります。
このような意識の変化とともに女性の働き方も変化していますので、『女性の働き方がどのように変わってきているのか』を見ていきましょう。
1-1. アルバイトから正社員へ
高卒の女性が働いている職業形態は、これまでアルバイトがかなりの範囲をしめていました。
しかし、女性の社会進出が進む中で、徐々に高卒女性の正社員化も進んでいます。
その大きな理由は、正社員には安定した高い給料とボーナスがあることです。
女性が高校を卒業してから60歳までの、42年間の生涯賃金(退職金を除く)を比べてみると、正社員は、アルバイトの3倍近い生涯賃金を得ることができます。
高卒女性の生涯賃金(退職金を除く)
- アルバイトの場合 5,040万円(給料が月10万円の場合)
- 正社員の場合 1億5,000万円(※1)
出典:独立行政法人 労働政策研究・研修機構『ユースフル労働統計 労働統計加工指標集2016』
さらに正社員は、
- 社会的信用がある
- 手当や福利厚生が手厚い
- 退職金がもらえる
などのメリットがあるので、アルバイトよりも正社員を選ぶ女性が増えています。
最近では、企業が『子育て支援』や『時短勤務制度』『介護休暇』を整備するようになって、女性が結婚や出産・子育てといった女性特有のライフイベントによって退職せずに、正社員として生涯働き続けることもできるようになりました。
『プライベートを優先したい』『夢をかなえるため』『やりたい仕事がみつからない』といった理由から、高校卒業後にアルバイトとして働く女性もいますが、将来をしっかりと見据えて、メリットの多い正社員として働くことを皆さんも考えてみるとよいでしょう。
1-2. 一般職から総合職へ
これまで、一般職と呼ばれる補助的な業務だけを行う女性が多かったのですが、将来、幹部職を狙える総合職として働く女性が増えてきています。
以下のグラフは、総合職として採用された男女の比率を調べたものなのですが、2014年に総合職として採用された人のうち、22.2%が女性となっています。
出典:厚生労働省『平成26年度コース別雇用管理制度の実施・指導状況(確報版)』
このグラフからもわかるように、2014年に総合職として採用された女性の割合22.2%はまだまだ少数ですが、2009年の9.2%から着実に増加しています。
総合職は、転勤がある企業が多いものの、
- 仕事内容が幅広い
- 重要な仕事を任される
- 企業の花形部署で働くチャンスがある
など、仕事の成果が評価されれば給与アップや昇進につながったり、将来管理職になれる可能性も高いです。
そういったことから、代替え可能な存在として考えられている一般職よりも、責任の重さややりがいを感じることができる総合職を選ぶ女性が増えてきています。
パートやアルバイトといった非正規社員に一般職を任せている企業も多いので、高卒の女性も、給与が高く、能力によってキャリアアップも可能な総合職で働くことを検討してみましょう。
1-3. 学歴から能力へ
今の段階では、学歴による賃金差や昇進スピードの差がまだあるので、それらに悩んでいる高卒女性は少なくありません。
しかし、徐々に学歴に関わらず、仕事ができるかできないかが重視されるようになってきているので、学歴によって働けない職種や役職、待遇差などはなくなっていくでしょう。
また、男女の別による区別もなくなりつつあり、以前までは男性優位と思われていた職種や指導的立場に女性がいることも珍しくありません。
これからますます、性別や学歴にとらわれずに能力が評価されていきますので、様々な職種や立場で活躍する高卒女性が誕生してくるでしょう。
2. 営業職で女性が求められている
女性が仕事を探しはじめるときに、大半の人は事務職を希望します。
しかし、現在、事務職には非正規社員が活用されたり、新しいITシステムを導入したりと、事務職で正社員になることが難しくなっています。
そのため、こういった競争倍率が高い職種では、学歴が重視されてしまい、『大卒』が有利になることが少なくありません。
一方で、今、女性を積極的に採用しはじめている職種が営業職です。
これまで営業職は、男性が多かったのですが、『女性ならではの気配りや話しやすさが、お客様との距離を縮めやすい』と評価されて、女性を採用する企業が増えているのです。
実際に、営業職女性の求人募集がどれくらい掲載されているのかを、大手求人サイトで調べてみても、
未経験者歓迎の職種別求人件数(女性)
※2018年1月調べ
- 営業 530件
- サービス・販売・外食 329件
- 一般事務・その他事務関連 312件
- ITエンジニア 93件
- クリエイティブ(メディア・アパレル・デザイン) 72件
- 医療・福祉・介護 51件
となっていて、営業職に女性を求めている企業がとても多いことがわかります。
ちなみに、営業職の女性が多い業種は次のようになっています。
営業職の女性が多い業種ランキング
- 1位 製造 21.3%
- 2位 情報・IT 13.2%
- 3位 サービス 11.8%
- 4位 保険 10.3%
- 5位 金融 7.4%
出典:日経BP社『営業女子の平均年収は〇万円 3割が500万以上』2018年2月16日
これらの業界は、業種の幅が広く、求人量が豊富です。
求人情報サイトを利用すれば、自分の希望に近い就職先を見つけやすいので、利用してみると良いでしょう。
女性が事務職を希望する理由の第1位は、「他に良い職業がなかったから」です。
もし、そういった考えで事務職を目指しているのでしたら、今、営業職で女性が求められているので、検討してみてはいかがでしょうか。
3. 高卒女性でも高額報酬を目指せる営業職
営業職で働けば、高卒女性であっても高額報酬を目指せるのが魅力といえるでしょう。
女性営業職の平均年収は、女性に人気の事務職よりも65万円、おしゃれな仕事が多い販売・サービス職よりも84万円、多くもらっています。
☆職種による女性の平均年収
- 営業職 379万円
- 事務職 314万円
- 販売・サービス系 295万円
出典:DODA『女性の平均年収ランキング2017』2017年12月4日
ここでは、そんな営業職の中から、高卒女性でも高額報酬を目指せる営業職を紹介します。
3-1. セールスレディ(生命保険外務員)
女性が働く営業職として、よく知られているのが生命保険会社の営業職(セールスレディ)です。
生命保険会社の営業職はほとんどの企業が歩合制なので、セールスレディの中には年収500万円以上稼ぐような人もたくさんいます。
また、生命保険会社は、以前から営業職に女性を活用していたので、
- 女性管理職の登用を推進
- 女性の『キャリア形成の研修』を実施
- 子育て支援・子育て後の再就職を支援
など、女性が働きやすくなるための取り組みを積極的に行っています。
生命保険会社の営業職は、女性比率が8割を占めている企業が多いので、高額収入が狙えて、女性が活躍できる環境が整っている職種と言えるでしょう。
☆女性が活躍できるように行われている企業の取り組み例
- アフラック(アメリカンファミリー生命保険会社)
- 2020年末までに、指導的立場(課長代理以上の社員)に占める女性の割合を30%とする目標を設定
- 第一生命保険株式会社
- 個人の適性とキャリアビジョンにあわせた2つのキャリアコースを設定し、女性が活躍できるフィールドを拡大
- 日本生命保険相互会社
- 『育児休業者向け職場復帰支援セミナー』『パパママランチ交流会』といった、仕事と子育てとの両立を目指す職員同士が情報交換できる場を提供
出典:平成27年2月一般社団法人 生命保険協会「女性活躍推進・健康増進に関する生命保険会社の取組事例集」
セールスレディの平均年収
女性 約373万円
※平均年収は、e-Statの『平成29年賃金構造基本統計調査』(厚生労働省)を元に算出しています。
3-2. MR(医療情報担当者)
最近注目されている営業職に、薬を医療機関に販売するMR(医療情報担当者)という職種があります。
MRは年収が高いことでも知られている職種で、女性の中にも高額の給与を受け取っている人がたくさんいます。
また、年収が高いだけではなく、高齢化社会が続いている現代において、医薬品を取り扱うMRは需要が高く人気の職種です。
MRは、安定性と将来性があり、長期的に働くことができる営業職なので、高額報酬を望む女性はぜひ挑戦してみましょう。
MRの平均年収
女性 約561万円
出典:DODA『平均年収ランキング2016』
3-3. 不動産営業
不動産業にも、女性が営業職として多く働いています。
この業界は、
- 休日が少ない
- 拘束時間が長い
- ノルマが厳しい
など、ブラックなイメージがある一方で、週休二日制や適性な勤務時間を推奨している企業や、名前の知られている大手や有名企業が数多くあります。
また、歩合制の企業が多いので『年収が高い』と言われている職種の一つで、ノルマを達成して成績をあげれば、年収1,000万円超えも夢ではありません。
不動産営業職は、高卒女性であっても、年齢や社歴に関係なく、成果次第で高収入が期待できるうえに、20代でも役職が狙える職種です。
建設・不動産営業職の平均年収
女性 約368万円
出典:DODA『平均年収ランキング2017』
3-4. 情報通信・ITの営業
インターネットやスマホによる情報管理を行う企業が増えていることから、情報通信・ITの営業職は求人募集が豊富にあります。
また、この業界は、大手企業や急成長している企業が多いので、
- 大量募集が行われる
- 未経験者を積極的に募集している
など、高卒女性が転職しやすい営業職です。
求人応募の際に、『営業職でも、ITの知識が必要なのではないか』と不安な人も多いのですが、必ずしもそういう訳ではありません。
企業によって、専門的なことは技術職が担当して、営業職は営業に専念させたり、営業に必要なIT知識を入社後に研修で身につけさせたりと、求人条件で深い知識が問われないことが多いです。
今後も、企業の成長や需要の拡大が予想されている業界なので、IT関連以外からの転職者も多く、高卒女性が転職できる求人が見つかりやすいです。
情報通信・IT営業職の平均年収
女性 約422万円
出典:DODA『女性の平均年収ランキング2017』
☆あわせて読まれている記事
営業職の仕事内容や年収、応募のしやすさ、転職活動方法など、詳しく解説しています。
4. 女性が進出し始めている、男性特有の職種
以前までは男性の職場と思われていた職種や、ほとんど女性がいなかった職種にも、女性が働き始めています。
こういった職種に飛び込んだ女性は、体力面では男性にかなわないことがあっても、女性ならではの利点や能力、仕事への探求心を活かして、男性と同じように活躍しています。
そこで、ここでは、最近女性が進出し始めている、男性特有の職種を紹介します。
4-1. 建設業
建設業は、とび職や大工、設備工、施工管理、現場監督など、職人や技術者が活躍している業界です。
3K『きつい 』『汚い』『危険』のイメージが強いことから女性の割合は3%と、まだまだ男性比率が高い職種ですが、国土交通省と建設団体などがタッグを組んで、労働環境の改善や女性雇用の倍増計画を進めています。
例えば、女性用トイレや更衣室、休憩室を設置して働きやすい現場づくりを実践したり、長時間労働を縮減して仕事と家庭の両立ができるように応援する企業が増えてきています。
大手建設会社では、アパレル会社と手を組んで、機能的でスタイリッシュな見た目のユニフォームを導入して、作業服のイメージ改善をしています。
また、資格取得を全面的にバックアップして、女性のキャリアアップを応援してくれる企業もあり、女性が活躍できるようになってきています。
最近では、企業のオフィス内装のリニューアルなどでニーズが高まり平均年収がアップしていますので、高卒女性の方にとっても魅力的な職種です。
建築・土木の平均年収
女性 約358万円
出典:DODA『女性の平均年収ランキング2017』
4-2. タクシードライバー
タクシー業界では、女性ドライバーの採用が増加傾向にあります。
しかし、女性の比率はわずかな伸びで、まだまだ男性が多い職種です。
☆女性タクシードライバーの割合
- 2017年 2.7%(7,292人)
- 2015年 2.5%(6,878人)
- 2013年 2.3%(6,699人)
そこで国は、『女性ドライバー応援企業』の認定制度をつくり
- 女性専用休憩室を設置している
- 昼間だけの勤務スタイルがある
- 月給制で、最低月収を保証している
など、女性タクシードライバーの就業に取り組んでいる企業の後押しをしています。
例えば、日の丸交通(東京)では、女性ドライバー限定のなでしこタクシーがあり、配属後1年間は月額23万円の給料を保証してくれたり、地域の連携保育所に子供を預けることができます。
また、タクシードライバー未経験者や第二種免許を持っていない人でも広く採用して、研修や免許取得のバックアップをしている企業も多くあります。
中には、免許取得の費用を会社が負担してくれるケースも少なくありません。
女性タクシードライバーは、『女性ならではの気配りや丁寧な運転で、安心してリラックスできる』とお客様の反応がよく、ニーズが高まっています。
女性が働きやすい環境も整備されはじめているので、これからますます女性が活躍できる職種と言えるでしょう。
タクシードライバーの平均年収
女性 約292万円
4-3. トラックドライバー
トラックドライバーも、働いている女性の割合が低い業界です。
下記のグラフ『女性の進出状況』からもわかるように、女性トラックドライバーの割合は全体のわずか2.4%(約2万人)ととても少なく、まだまだ男性の仕事と思われがちです。
出典:トラガール促進プロジェクトについて
しかし、運送業は長期的な人材不足の業界であるため、国や企業が、女性ドライバーを増やす努力をしています。
国は、女性トラックドライバーを『トラガール』と名付け、女性が働きやすい職場環境づくりや女性の採用を推奨、業界のイメージアップなどに取り組んでいます。
企業は、育児や家事との両立をしたい主婦の方に向けて、短距離間の輸送や地域のルート配送などの働き方を提供しています。
国や企業の取り組みによって、車の運転が好きな女性は、大型自動車免許を取得してトラックドライバーとしてのキャリアアップを目指すこともでき、中には800万円近い高額収入を得る人もいます。
女性トラックドライバーは、『職場が華やかになる』『女性らしい対応がお客様に喜ばれる』と評判が良く今後も需要があるので、興味がある女性は検討してみてはいかがでしょうか。
☆女性トラックドライバーの平均年収
約327万円(普通・小型貨物の場合)
※平均年収は、e-Statの『平成29年賃金構造基本統計調査』(厚生労働省)から算出しています。
5. まとめ
高卒女性の中には、『高卒だから』『女性だから』と考えている人が多くて驚かされることがあります。
これまで、高卒女性にはよい仕事がなかったということが大きな理由なのかもしれません。
しかし、時代は変わって、様々な職種で高卒の女性が活躍できる環境が整いつつあります。
アルバイトやパート、正社員でも補助的な業務をしていればいいと考えていた女性もいると思いますが、これからは女性も正社員としてしっかり働き、給与もきっちりもらうという時代になってきています。
高卒の女性も、積極的に自らのやりたい仕事を探して、キャリアを築いていくという考え方が必要になっていくでしょう。